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サルタンズ・オブ・スイング


ヨットレースにはパーティーがつきものです。レースも重要ですが、そのあとのパーティーはもっと重要。そこで、「帆船徒話」最終回は海外パーティー事情を。

私が知る範囲で言いますと、海外レースのパーティーはシンプルです。構成は一般に「立食+バンド演奏」です。食べ物が並んだテーブルが数ヵ所にあり、お皿を持って並ぶのは日本と同じ。バンド演奏を聴きながら、飲んで食べてしゃべる、ただそれだけです。パーティーの途中で表彰式があったりはしますが、主催者側が何かそれ以上のことをして遊ばせてくれる、ということは基本的にありません。

こういう状況下において、外人は実にうまく遊びます。興に入って踊っている人もいますし、見ず知らずの人ともどんどんしゃべります。おそらく子供の頃からパーティー慣れしていて、ミングル(多くの人と知り合いになれるよう、グループを次々と渡っていくこと)のしかたとか、礼儀となれなれしさのバランスとか、パーティーでのたしなみを身につけているのでしょう。それに外人は声がデカイ。大騒音の中でも会話ができます。日本人はちょっと不利。

このようなパーティーは、レーザーのレセプションとはかなり異なるものですが、主催者と参加者が顔見知りで規模もそれほど大きくないレーザーのレセプションと、規模が大きく、不特定多数を相手にするこれらのパーティーとでは、やりかたは当然違ってくるものと思います。

一方、立食ではなく着席でディナーの場合もあります。これは、ホテルのバンケットルームでやることもありますし、ヨットクラブの中でやることもあります。

ディナーをヨットクラブでやるときは、クラブのホールにあるテーブルに白いテーブルクロスを掛け、ろうそくを立てて、クラブのエンブレムの入ったお皿をならべます。すると、質素なクラブも高級レストランに早変わりです。この、クラブのエンブレムの入ったお皿、というのがミソで、これで格調がぐんと上がるのです。

そして、ディナーが終わるとテーブルを片づけてダンスが始まります。ソーシャルダンスです。こういうとき、私のようにダンスの心得のない者は途端に困ってしまいます。ヨットレースを楽しむにはダンスもできないといけないんですねー。ちょっとハードル高し。

さて、最初のパーティーの話に戻り、お開きのときに時々かかる曲があります。それが表題の「サルタンズ・オブ・スイング」。ダイアー・ストレイツの曲です。歌詞のなかに「もう帰る時間だよ」というフレーズがあるので、お開きの曲に使われているのでしょうか。これがかかると、不思議と、今日のパーティーも終わりかな、という雰囲気になるのです。...ということで、この「帆船徒話」もそろそろお開きとさせていただきます。

2008年12月30日 西野・記


 
キングズカップ・レガッタ (タイ・プーケット島、2007年12月)
レガッタ中、毎晩その日のレースの表彰式がある。ということは、パーティーも毎晩。一週間、異常な興奮に包まれる。もっとも、ここまで派手なレガッタはあまりない。[画像クリックで拡大]
 



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